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2024.08.28 コラム

種子の保存方法:基本的なポイントと注意点

種子を長期間良好な状態で保つためには、適切な保存方法が非常に重要です。種子は保存環境の条件により発芽力が大きく変わるため、保存の際にはいくつかのポイントを守る必要があります。ここでは、種子の保存方法について、分かりやすく解説していきたいと思います。

(1)種子保存の基本ルール

種子を保存する際の基本は、「低温・低湿・暗所」です。具体的には、以下のような環境が推奨されます。

  • 低温で保管
    種子は、温度が低い環境・一定の温度環境で保存することが重要です。理想的には20℃以下の冷暗所(涼しい室内など)、冷蔵庫だと野菜室内などが適しています。冷蔵庫を利用する場合は、密閉容器に入れることで湿度のシャットアウトと同時に開閉による温度変化を防ぎ、発芽率を維持しやすくなります。
  • 低湿度を保つ
    種子は湿気に弱く、高湿度の環境ではカビが発生したり、発芽力が極端に低下することがあります。保存する際は、乾燥剤を一緒に容器に入れて、湿度をコントロールしましょう。密閉できる袋(ジップロックなど)や容器を使用することで、湿気の侵入を防ぐことができます。
  • 直射日光を避ける
    種子は光に敏感であり、直射日光を浴びると品質が劣化する可能性があります。暗くて涼しい場所で保存することが基本です。

ビニールハウスや倉庫、自動車の中など、高温多湿になりやすい場所は、種子の保存には適していません。これらの環境では種子の品質が劣化しやすくなります。

(2)保存の際の注意点

  • 有効期限の確認
    種子には有効期限があり、適切な保存方法を守っていても、期限を過ぎると発芽率が低下することがあります。特に、発芽促進処理が施された「プライミング種子」などは、期限を厳守する必要があります。
  • 採種環境による違い
    種子の寿命は、その種子が採取された環境や保存状態により異なります。湿気の多い環境や高温で保存された場合、発芽力が早く失われることがあるため、有効期限内に使用することを推奨します。
  • 冷蔵庫を利用する場合の注意点
    冷蔵庫(野菜室)を「冷暗所」として利用する場合、種子を密閉容器に入れてから保管することが重要になりますが、容器内に空気が残ると、温度変化により結露が発生し、種子が湿気を帯びてしまうことがあります。保管後に種子を使用する際は、すぐに容器を開けず、室温になるまで待ってから開けることで、結露対策を行いましょう。