Introduction
イタリアンライグラスは、発芽・初期生育の早さと耐湿性の高さから、水田裏作・転作田で全国的に利用されている代表的な冬作飼料作物です。稲刈り前の「中まき」で水田の農閑期を有効活用でき、自給飼料の拡大や経営効率の向上にもつながります。本記事では、その特徴と栽培のポイント、当店取り扱い品種をご紹介します。
イタリアンライグラスとは
イタリアンライグラスは、ヨーロッパ原産のイネ科牧草で、日本では北海道から沖縄まで全国で栽培されている代表的な冬作飼料作物です。秋にタネをまき、翌春から初夏にかけて収穫する「秋まき・翌年収穫型」の牧草で、発芽・初期生育が早く、短期間で多収が得られるのが最大の特長です。家畜に対する消化性・嗜好性にも優れており、酪農・畜産経営における自給飼料の柱として広く利用されています。
水田裏作との深い関わり
イタリアンライグラスは、水田裏作の代表的な牧草といえる存在です。
耐湿性が強い:水はけの悪い水田跡地でも生育しやすく、これが水田裏作に向いている一番の理由です
稲刈り前の「中まき」が可能:稲が立ったままの水田に、稲刈りの10日ほど前、不耕起(耕さずに)でタネをまく栽培法が広く行われています。稲刈り後すぐに牧草の生育がスタートでき、限られた期間で効率よく収量を確保できます
水田の農閑期を有効活用:稲作は春〜秋が中心のため、冬の水田は空いています。秋まき・翌春収穫のサイクルは、ちょうどこの空き期間と噛み合います
農研機構の調査では、水田で稲WCS(発酵粗飼料)を収穫し、その裏作としてイタリアンライグラスを栽培している酪農経営について、購入飼料への依存が減り、1頭あたりの年間所得が大きく増加する効果が報告されています。関東以西の水田地帯で自給飼料を拡大したい酪農経営にとって、代表的な選択肢のひとつです。
栽培のポイント
【播種期】
春まき:3〜4月(遅まきは避ける)
秋まき:9〜10月が基本(品種により11月中旬まで対応可能なものもあります)
【播種量の目安(10aあたり)】
2倍体品種:2〜4kg
4倍体品種:3〜4kg
【土壌条件・施肥の目安】
やや湿潤で肥沃な土地であれば、土質は特に選びません。苦土石灰でpH6程度に矯正したうえで、元肥に堆肥・チッソ・リンサン・カリをバランスよく施し、刈取りのたびに追肥(チッソ・カリ)を行うことで、再生力を維持しやすくなります。
【収穫・利用方法】
サイレージ用には、出穂期に刈り取り、半日〜1日ほど予乾してから細断し、サイロに詰め込みます。刈取り時期が遅れるほど倒伏のリスクが高まるため、出穂期を目安とした適期刈取りが重要です。
【栽培時の注意点】
イタリアンライグラスは繁殖力が高く、栽培管理を怠ると圃場周辺に広がりやすい性質があります。適期の刈取りと圃場管理を徹底し、逸出を防ぎながら計画的に栽培することをおすすめします。
おすすめ品種のご紹介
下記に早晩性・耐倒伏性の異なる3品種を紹介します。圃場の状況や収穫時期に合わせてお選びください。
【タキイ種苗】ワセフドウ(極早生)
1番草の出穂期が「ハルアオバ」より10日以上早い極早生品種。耐湿性が強く転換畑に好適で、早春の草勢に優れ有機物量も豊富です。極早生品種の中でも耐倒伏性に優れています。秋まきは9〜11月中旬まで対応可能です。
【タキイ種苗】 タチサカエ(中生)
立性で耐倒伏性が強く、葉幅が広く茎数も多いタイプ。乾物収量・再生力に優れ、春の生育の早さと越冬性の強さも特長です。高密度に播種することで雑草対策にも有効です。
【タキイ種苗】ガルフ(早生)
従来の早生品種よりさらに直立し倒伏に強いのが特長。分げつが旺盛で有機物量が多く、初期生育が早いため晩秋・早春でも高い生草収量が得られます。耐湿性が強く、多湿な条件でもよく生育します。
まとめ買い・お問い合わせ
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