Introduction
緑肥×土づくり1年ロードマップ
「今年こそ、加賀太胡瓜をうまく育てたい」「毎年作っているトマトで、昨年より味の濃いものを収穫したい」
そう思ったとき、まず見直してほしいのが土です。固定種や伝統野菜は、土の力をそのまま味に変える傾向があります。良い土には良い味が宿る——多くの栽培者が実感していることです。
この特集では、春から夏にかけて使える6品種の緑肥を、播種カレンダーとあわせてご紹介します。
どの品種を、いつ播くか——まずはそこから、あなたの畑の1年を組み立ててみてください。
緑肥って、結局何をしてくれるの?
春にまずやること:今すぐ播けるおすすめ2品種
アウェナストリゴサ(えん麦野生種)
「ネグサレタイジ」
イネ科 / えん麦野生種(タキイ種苗)
播種期:中間・暖地 3〜6月・8〜11月(7〜8月中旬は避ける)/ 冷涼地 5〜8月上旬
ネグサレセンチュウの抑制に特化した、えん麦の野生種です。根から分泌される成分がセンチュウの増殖を抑えるだけでなく、キスジノミハムシの密度低減効果も確認されています。茎葉が細く分げつが多いため初期生育が旺盛で、深根性による土壌物理性の改善も期待できます。播種後60日前後、草丈80cm〜出穂始めを目安にすき込むことで、大量の有機物が補給され地力回復にも効果的。中間・暖地では春と秋の年2回利用でき、連作しやすい畑づくりの第一歩として最適です。
マルチ麦 おたすけむぎ
イネ科 / 緑肥用大麦(タキイ種苗)
播種期:中間・暖地 4〜6月中旬 / 冷涼地 5〜6月
※春まき専用品種。極端な早まきは出穂の可能性があるため注意。
早枯れタイプのリビングマルチ専用品種です。発芽・初期生育が早く、短期間で地表を被覆して雑草を抑制します。枯れ上がりが早いため主作物と競合しにくく、自然に枯死するため片付けの手間がかかりません。すき込めば有機物として地力維持にもつながります。ポリマルチと違い、廃棄ゴミが出ない点も魅力です。スイカなどのツルの固定や青果への泥はね防止など、アイデア次第でさまざまな使い方ができます。
春に「計画する」:夏に向けた土づくりの仕込み
緑肥用ソルゴー(ソルガム)
夏まき / イネ科 / スーダン型・早生(タキイ種苗)
播種期:冷涼地 5〜7月 / 中間・暖地 5〜8月
細茎で分げつ数が多く、有機物量が豊富なスーダン型の早生品種です。吸肥力が強く、ハウスや露地で蓄積した過剰な塩類や肥料成分を吸い取る「クリーニングクロップ」として特に効果的。繊維が柔らかいため、耕うん機でも立毛のまま楽にすき込めます。
やわらか矮性ソルゴー
夏まき / イネ科 / 晩生(タキイ種苗)
播種期:冷涼地 5〜7月 / 中間・暖地 5〜8月
草丈が1.2〜1.5mと低く抑えられた矮性品種で、すき込みやすさが抜群です。茎葉が柔らかく、すき込み後の分解が早いのが最大の特徴。圃場に重機やトラクターが入りにくい家庭菜園・小規模圃場でも扱いやすく、後作までの期間が短い場合にも向いています。晩生のため長期間にわたって土壌を被覆できます。
連作障害・病害が気になる方に:センチュウ対策の緑肥
クロタラリア ネコブキラー
夏まき / マメ科 / クロタラリア(タキイ種苗)
播種期:冷涼地 6〜7月 / 中間・暖地 5〜8月
サツマイモネコブセンチュウをはじめ各種ネコブセンチュウ、ダイズシストセンチュウの密度を抑制するマメ科緑肥です。草丈は1.5〜2mになり、真夏に黄色の花をつけるため景観用としても楽しめます。酸性地・やせ地でもよく生育するため、土壌条件を問わず使いやすいのが特長。後作野菜の播種・定植の約30日前にすき込みます。トマト・ナス・キュウリなど連作しやすい夏野菜の後作に特におすすめです。
フレンチマリーゴールド・エバーグリーン
春〜夏まき / キク科 / フレンチマリーゴールド(タキイ種苗)
播種期:冷涼地 5月中旬〜7月 / 中間・暖地 5〜7月
タキイ種苗が開発した「花が咲かない」緑肥専用マリーゴールドです。各種ネコブセンチュウ・ネグサレセンチュウの密度を抑制し、90日間の栽培で後作のセンチュウ被害をかなり軽減できます。花を咲かせないためオオタバコガなど花を餌とする害虫の温床になりにくく、株の老化も遅いので長期間にわたって地面を被覆し雑草も抑えます。分枝が旺盛で地面を早くから覆うため、センチュウ対策・害虫忌避・雑草抑制・緑肥効果の四役を同時に果たします。
播種カレンダー
まず1品種、今年の畑に播いてみよう!
緑肥は、一度始めると土の変化が目に見えてわかる面白さがあります。
ふかふかになっていく感触、減っていく雑草、元気になっていく作物——
その変化は、栽培する野菜の味にもきっと表れてきます。
播種カレンダーを手元に置いて、まずは1品種だけ試してみてください。
「去年より土がよくなった」と感じる秋が、きっと待っています。
