Introduction
昨年から話題となっている「令和の米騒動」。食料自給や米の安定供給に対する関心が一気に高まりました。
そんな中、注目されているのが水稲向け緑肥です。緑肥は、稲刈り後や裏作に播種して土にすき込むことで、化学肥料や農薬に頼りすぎない持続可能なお米づくりを支えます。
緑肥がもたらす効果
●窒素固定による肥料代節減
ヘアリーベッチなどマメ科緑肥は大気中の窒素を固定し、肥料コストを抑える。
●土壌改良(フカフカの土に)
団粒構造をつくり、排水性・保水性を改善。根張りが良くなる。
●雑草抑制
アレロパシー作用でコナギやノビエなどの雑草発生を抑える。
●病害虫軽減
土壌微生物を活性化し、病害を抑制。
●環境保全
化学肥料を減らすことで温室効果ガス排出を抑制。滋賀県では「ヘアリーベッチ+無肥料」でCO₂を30%削減した事例も。
代表的な緑肥作物
● ヘアリーベッチ(ナモイ、ウィンターベッチなど)
多くの窒素を固定できるマメ科緑肥。
根が深く入り、耕盤を砕いて排水性を改善。
早生・晩生タイプを組み合わせて播くと開花期が長く、養蜂資源としても利用可能。
雑草抑制効果が高い。
● ライ麦「ライ太郎」
超極早生タイプ。春先にすき込みやすく、後作の稲作や麦作にスムーズ。
根の張りで物理性改善。
●クローバー類
土壌生物性を高める。
景観形成や環境保全にも寄与。
栽培のポイント
●播種時期:稲刈りの3~4日前に立毛間播種。藁が自然に覆土となる。
●播種量:ヘアリーベッチは3~5kg/10a(立毛間では1.5倍)。
●排水対策:湿田には不向き。明渠やもみ殻暗渠で排水改善を。
●すき込みタイミング:過繁茂前に細断・すき込み。窒素過多やガス湧きを防ぐ。
導入事例(メーカーさん資料より)
●岩手県:大豆跡地にヘアリーベッチ導入 → エダマメ収量が回復
●兵庫県:営農組合が16haに導入 → 「花美人」としてブランド米化、付加価値向上
●滋賀県:慣行栽培に比べ温室効果ガス30%削減、雑草90%減少
こうした成果が各地で報告され、緑肥の価値が広く認められています。
まとめ
「お米をもっと安定して、環境にやさしくつくりたい」
その思いに応えるのが水稲向け緑肥です。令和の米騒動をきっかけに、今こそ土づくりを見直し、持続可能な稲作を始めてみませんか?